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    Rockface

    バランスドリル - その1

    去年の記事ではバランスよく滑る為の基本の構えである、パラレルポジションとアスレティックスタンスについて書いたけれど、今回はそのスタンスを基本として、どのようなバランス練習が行われているのか紹介する。

    まず、ドリルというほどのものではないけれど、Boots Undoneという、バックルをすべて外して滑るものがカナダのドリル集に載っている。他のさまざまなドリルをバックルを外して行うことで、より難しくすることも出来る。個人的にはウォームアップとして、朝一番にこれでじっくり1~2本滑ることも多い。

    次に、若い(小さな?)ジュニアの間でかなりよく見かけるのがカナダのドリル集でGoalpostと呼ばれるもの。



    ストックを上下逆に持った手を肩の高さに保ち、斜面下に目標物を決めて、それを垂直に立てたストックの間から常に見えるようにしながら滑ることによって、バラ ンスを保つ際に重要な、上半身と下半身の分離を鍛えることが出来るとカナダのドリル集には載っている。動画(USSAのもの)ではスラローム(小回り)の場合下の目標物を狙い、GS(大回り)の場合には谷スキーの先を狙うように、と説明されている。

    今年のシーズンインでは、これのバリエーションでストックのグリップではなく、シャフトの中心を持って行うパターンのものをやっているのを良く見かけた。また、ストックを両手で横に持って、斜面に平行に保ったまま滑るドリルが昔からあるけれど、同じ狙いのものだ。



    ここではこのドリルの説明を以下のようにしている。

    ストックを体の前で持ち、斜面に平行になるように保つ。手のひらは上に向けても、下に向けても良い。上に向けるパターンは、腕が固まり、肘が張り、骨盤を引っ張る筋肉を緩めてローテーションする癖のあるスキーヤーに有効である。もうひとつのバリエーションはストックを手首の上に乗せてバランスをとるものである。手は体の前に自然に出し、過剰に突き出すようにしてはいけない。手、腕、肩を一つの物として考える。肩や腰を平行に保たずにストックだけを動かす事も可能であるから、コーチはこれに注意して必要に応じて修正すること。

    ストック(及び肩と腰)を、ターンの各ポイントで斜面に平行に保つことによって、スキーヤーは左右のバランスがしっかり取れるポジションを取ることができる。この練習をガーランドで始めれば、ストックを斜面に合わせるのを楽にする事が出来る。


    他にもストックを使うものでは、肩に担いだり、



    さらに両肘の内側を通して背中に回したり、腕を伸ばして頭の上に平行にして持ったり と色々なバリエーションがあるが、これらはそれぞれ少しずつ違う狙いで行われる物だ。例えば背中に回すバリエーションはカナダのドリル集では

    スキーヤーはストックを背中に回して両肘(の内側)で引っ掛け、肩を後ろに、胸を持ち上げるようにする。ターンは高い上半身と、両すねへの圧力をしっかり意識しておこなう


    とされていて、目的は、

    • 安定した上半身を培う
    • 前後のバランスを培う
    • (体の各部の適切な)並び方を鍛える


    となっている。これに対して、頭上で持つパターンのものは

    スキーヤーはストックを頭の上で肩の外側の幅で持ち、「勝利のポーズ」



    をとってターンする。上に伸びること、両脛の圧力、拇指球への荷重と両足、両足首、両膝、腰の並びをしっかり意識して行う。


    目的としては

    • 前後のバランスを培う。
    • (体の各部の適切な)並び方を鍛える
    • 上半身と下半身の分離を強化する


    と、微妙に違う目的になっている。また、腰の下に当てて腰を持ち上げながら滑るものは、

    ストックを尻のすぐ下に当て、前と上に引きながら脛により体重がかかるように滑る。肩は膝の皿より前に出るようにする。




    目的は

    •(体の各部の適切な)並び方を培う
    • 前後のバランスを強化する
    • 上下のバランスを強化する


    のように、しっかり腰を持ち上げて、各関節が自然に並んだ形で滑る事に主眼が置かれている。

    さらに、前に紹介したdartfishではバランスを強化するドリルとしてCarry The Torchというドリルなども載っている。



    この練習は強い横のバランス感覚を養う。ストックはグリップの下部で親指と人差し指で持つ。外のストックはターンの外側で雪の上を引きずり、内側のストックは体の前でオリンピックのトーチを持つように空中で持つ。これにより、両肩が雪面と平行になることを促す。ストックを扱う動きは滑らかである必要がある。体重は外スキーの上。内スキーを持ち上げて行ってもよい。



    またポールを40センチほどに切って、両方に取っ手を付けたハンドルバーと呼ばれる物を体の前方、胸の高さに保って滑るドリルを、アメリカのレーサーたちがやっているのを、去年の「静かな上半身」で紹介した映像で見る事が出来る。





    ハンドルバーのドリルはカナダのドリル集によれば下の事が目的とされている。

    • 上半身と下半身の分離のために必要な体幹の筋肉を分離する
    • 安定した腕と手のポジションを養う
    • 上半身の安定を意識する


    上の他のバランスドリルと同じように、上半身を安定させることに加え、手や腕の位置も安定させることを意識したドリルだという事がわかる。

    これらの映像では他にも、上に挙げたストックを平行にして滑るドリルをこなしているのが見られ、さらのそれを片足でやっているのも一瞬写っている。また、ストックを持たず両手を腰に当てたり、肩に置いたりしているのも写っているが、このようなストックを持たずに両手を体の色々な場所において滑るパターンについては次回に紹介する。
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    1. 2015/03/09(月) 00:44:47|
    2. 北米スキードリル
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    シーズンインはとうの昔

    超不定期更新のこのブログ。まだ生きてます(笑) こちらは雪崩のトレーニングやソリのトレーニングに追われてスキー技術とは段々かけ離れた状況になっているけれど、一応11月から毎週滑っていて、下はオープン時の様子。





    毎年オープンから1ヶ月くらいはこんな感じで、ここまで紹介してきたような基礎ドリルをこなす、各所から集まったいろいろなレベルのたくさんのレーサーが、実際にトレーニングマニュアル等に沿ってトレーニングしているのが見て取れる。

    次の記事では去年の続き、バランスのドリルを紹介したいと 思う します。早急に。

    テーマ:スキー - ジャンル:スポーツ

    1. 2015/03/07(土) 09:33:12|
    2. 未分類
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    バランスとスタンス

    SkillsQuestの4技能のうち、Rotary/PivotとEdgeingのドリルを今シーズン初めに紹介した。これらはスキーを回したり、傾けたりという、「スキーの操作」にかかわるもので、「スキー技術」として教えやすい、覚えやすい部分であると思う。また、特にRotaryのスキルはコブや急斜面を安定して滑るために、即効性のある、実用的なものだ。

    ただ、個人的には前に書いたように、スキーで一番大事なものはバランスとスピード感だと思うし、スキーレーサーがやっているもので一番良く見かけるのはバランスドリルだ。SkillsQuestではバランスはフリースキーで見ることになっており、特別にドリルは紹介されていないが、前に紹介したカナダスキーコーチ連盟のドリル集や、USSA Alpine Ski Fundamentals、その他実際に見かけたUSのレーサーのトレーニングなどを使って、今回からは北米で行われているバランス強化ドリルを紹介したいと思う。

    まず、しっかりとバランスを取る為に大事なスタンス(構え)。USSAではAthletic Stanceと、Parallel Positionといわれるものを基本に組み立てていく。

    Athletic Stanceとはスポーツ一般で使われる用語で、基本の構えの事。これがどのような物かはスポーツごとに違うわけだけれども、USSAはスキーのAthletic Stanceを、

    動いているか止まっているかに関わらず、左右の足首、膝、腰、肩を通る線は、スキーに対して直角になる。

    スキーヤーの重心は両スキーと両足の支えの上に真っすぐ並んでいる。

    両手と両腕は自然に持ち上げられ、体の前にあり、視線は前を見ている。

    一般に「スクエアスタンス」と呼ばれるものである。


    としている。これに対してParallel Position は、

    スキーは平行で前後が同じ距離だけはなれ、整列した体の内側(=山側)の適切な先行により、斜滑降の際のアンギュレーション(外向外傾)と動的なバランスを保っている。

    スキーヤーの両足首、両膝、腰と肩は前に出たスキー(=山スキー)に対応する形で並んでいる。内腰は持ち上げられ、上体は腰の向きを向いている。重心は両スキーと両足の支えの上に保たれている。


    という事だ。

    これらのポジションはUSナショナルチームのすべてのメンバーと、世界中のレーサーが使う物で、アスリートは状況次第でこの両方のポジションを滑らかに行き来出来るようになる必要があるとされている。

    アスレティックスタンスでは体重は両足にのり、腰はスキーの向く方を向き、体はリラックスして、関節は自然にまげられ、エッジは立てられていない。これは直滑降やジャンプ、”時には”ターンとターンの間の瞬間的なトランジションにおいて使われる。

    パラレルポジションでは足は肩の広さに広げられ、内側の膝、腰、腕、手、肩は、内足が前に出ているのに合わせて、少し前に出ている。内足が先に出ていることは必須であり、これは斜面が傾いている事からくるものだ。腰は山側が上げられ、体重は谷スキーに乗る。

    パラレルターンをより速いスピード、より難しいコンディションで行う為に、スキーヤーは、インクリネーションやアンギュレーション、さらに動的なバランスが協調して強まっていく事を可能にする、生体力学上有利なパラレルポジションに「入っていったり(作っていったり)」、「出て行ったり(解いていったり)」する事が大事である。アスレティックスタンスとパラレルポジションという基本の構えは、体の主要部分が腰を中心として滑らかに協調する事を可能とする物でなければならない、とされている。

    これら、アスレティックスタンスとパラレルポジションのドリルとしては以下のような物がある。


    まずは単にアスレティックスタンスで真っすぐ滑り降りるもの。

    Get Microsoft Silverlight

    バリエーションとしては片足、高いクローチング、低いクローチングがある。行う事自体は非常に簡単な物だが、まず立ち方に問題があったら何をやっても駄目と言うのは簡単に想像がつくので、コーチングをする際にまずはここから始めると言うのは理にかなっている。


    次にパラレルポジション。こちらは残念ながら映像は見つからなかったが、USSAのドリルプランに説明がある。
    http://my.ussa.org/sites/default/files/documents/athletics/education/2012-13/documents/Parallel.pdf


    • 初心者向けから中級者向けの整地で行う

    • 斜面の横に、スキーを平行にして自然な幅だけ広げて立つ

    • 内足(山足)が先に出る事が必須。これは斜面が傾いている事によって出るもの

    • 両足首、両膝、腰と肩はそれぞれ平行になる

    • 山側の腰は上げられ、体重は谷側のスキーにかかる

    • 肩は腰の向きを向く

    • 手はリラックスして体の前にあり、スキーヤーは進行方向を見ている

    • 体重はスキーの中心にのり、山スキーは足首、膝や腰から、斜度に対応する形で前に出ている

    • スキーヤーは足首、膝、腰を曲げて直立した姿を保っている

    • 手はリラックスしてしっかり前に出されている


    「手はリラックスして前」というのは”大事な事なので2回”言われている(笑)いや、実際とても大事だ。


    評価のポイントは


    • スキーは自然な幅に開かれ、平行。山スキーが前に出ている

    • 両足首と両膝、腰と肩が平行

    • 山側の腰が上がっている

    • 体重は谷スキーの中心にかかっている

    • 手は前に出て、肩はリラックスしている

    • 上体は腰の向きを向いている

    • 進行方向を見ている


    バリエーションとしては


    • 山スキーを持ち上げて斜滑降

    • サイドスリップからエッジセット(エッジを立てて止まる)

    • 完全にエッジをかけて(ずらさないで)斜滑降

    • 直滑降から、完全にエッジをかけたまま(ずらさないで)斜滑降へと移る


    という物があげられている。

    このように、USSAでは自然な両スキーの幅で、山側の半身は前(外向)、山腰を上げて(外傾)滑るのが基本の構えとされていて、山スキーは「斜度に対応する形」で出るとなっている。どのような状況でも絶対に正しい形があると言う事ではなく、状況に対応して必要なだけ出るという事だ。

    さて、構えの事だけでずいぶんな量になってしまったので、このような基本の2つの構えを前提にした上で、実際どのようなドリルでバランスを鍛えるのかは次のエントリーで書こうと思う。

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    1. 2014/03/15(土) 23:50:59|
    2. 北米スキードリル
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    OEC 実技テスト

    今日は技術の話は休憩。

    8月からOutdoor Emergency Careという、スキーパトロールの為の資格を取るためにトレーニングを受けていたんだけれど、先週末、実技の最終テストがあった。他のスキー場からも試験官達が来て、血糊などでリアルな患者に扮したジャッジを相手に、傷病に応じた適切な処置をして搬送用のToboggan(ソリ)に乗せるシナリオを、スキー場で丸一日かけて何件か行うもの。

    OEC_FIN.jpg

    受験者のチームで、時に痛い痛いと大騒ぎする役者ぞろいの患者に話しかけながら、現場の安全の確保や機材の要請等も含めて、適切な対応を制限時間内に出来ることを見せなければならず、特にコミュニケーション力やリーダーシップに一抹の不安があったけれど、

    cake.jpg

    いかにもアメリカンなケーキ(笑)


    無事合格。テスト後にケーキとタコスとビールで祝ってもらえた。

    18人で始めたクラスの内、最終テストを受けた15人は全員合格。合格するレベルになるまでトレーニングをさせるので、落ちる人はほとんど居ないそうだ(落ちるレベルと判断されると受けさせてもらえない)。

    ほぼ予備知識無しに始めたこのコース、終わってみればいつの間にか相当時間を使う事となった。結果的に学科だけで自習を含めると100時間程度かかり、その後実技のトレーニングが10日程度で80時間。計180時間ほどかかったことになる。期間にして4ヶ月。やっと取れたという感じだ。

    クラスやトレーニングは、毎回パトロールが数人、講師や患者役として来る内容の濃いもので、生徒の元救急隊員(EMT)や救急救命士(パラメディック)の話によると、EMTの資格のクラスとほぼ同じだとのこと。教科書は表紙以外ほとんど同じで、違うのは実技の部分(OECはアウトドアでの外傷処置に重点を置く)という事だ。

    前の記事で「出産はおめでたいけど出来ればやりたくない(笑)」と書いたけれど、その出産の授業の回は産婦人科医の人が講師で、一通り講義が終わった後、おもむろに不穏なマークの付いた箱を2つ bio.jpg bio.jpg 取り出したかと思うと、「はい、ここにさっき説明した胎盤がありますので、皆さん手袋をして触ってみてください」と 言い出しやがった おっしゃられた。おかげでピザ(シカゴ風、Size M)位のサイズがあってずっしりと重い、へその緒の付いた血まみれの人間の胎盤に触ることが出来た。後日リフトの上で現役パトロールに話したところ、「ああ、あの先生ね…」と苦笑いしていたので、毎年やる 嫌がらせ 貴重な体験らしい。人間の血と肉を扱う耐性は確実にちょっと上がったので、胎盤を提供していただいた方々には感謝したい。

    こうやって相当突っ込んだところまでやったOECのおかげで、医療的な部分はかなり理解出来た。これから1ヶ月ほどProbation=試用期間として現役のパトロールについて回ってオペレーションを覚え、推薦を受けられれば、晴れて正式のパトロールとして十字のついたベストを着られる事になる。Tobboganを扱うためにはNational Ski Patrolの定めるトレーニングを受けた上でテストに合格しなくてはならないので、その後また3月まで今度はTobboganのトレーニングの予定。ソリを引きながらカービングでは滑らないだろうし、こちらもズラシのシーズンになりそうだ。

    テーマ:スキー - ジャンル:スポーツ

    1. 2013/12/11(水) 07:15:39|
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    Edgingドリル - その2

    日本に帰国する用事があったりして2週間ぶりの更新となってしまったけれど、前回のPSIAとカナダの初級エッジングドリルに続いて、今回はUSSAのSkills Questでエッジングがどう扱われているかの紹介になる。Skills Questではフェーズ2でOutside Ski Turnsを使ってエッジングを評価することとなっている。そこまでの展開として、まず、

    •  片足で直滑降

    •  足踏みをしながら(左右のスキーを交互に上げながら)直滑降

    •  山スキーをあげたままスロープを横切る

    •  足踏みをしながらスロープを横切る



    等の練習や、以下の1000 stepsやThumper Turnsというドリルがあげられている。(Thumper Tunrsは実際には次のフェーズ3で挙げられているが、Outside Ski Turnsへの導入と書かれているためここにまとめる)

    1000 steps


    左右に踏み替え続けながらターンをする。普通にカービングをする時と同じようなポジションで、しっかりしたエッジのコントロールを保つ事。

    この練習の目的は、左右のバランス、足首の適切な絞め方、体の各部の動きの分離である。あらゆるレベルのスキーヤーを対象とするが、ターンの内側に体ごと倒れてしまうスキーヤーや、逆にターンの早すぎる時期に腰をさげて固まってしまう(パークアンドライド。参考記事)スキーヤーに特に有効。それらのスキーヤーには、外スキーに内スキーより少し長い間乗るように指示するのも良い。

    低くしゃがみ過ぎで腰が下がっているスキーヤーには、一歩一歩を特に大きくするようにさせる事で、姿勢を高く保てと繰り返し繰り返し口で言うことなく、腰を上及び前に出すようにさせられる。

    正確にドリルをこなせる程度の、非常に緩いスロープから始めるのが重要である。


    Thumper Turns




    Thumper TurnsはOutside Ski Turnsへの導入として使える練習である。Outside Ski Turnsの目標は、ターンに入る時、ターン中、ターンを出る時のすべての局面において100%外スキー優位にする事である。これは始めてやるスキーヤーにとって新しい感覚である為、最初は内スキーで雪面を叩くようにして、1瞬だけでも外スキーのみで滑る感覚を掴む。なれるにつれてスキーをあげる時間を長くしていき、最終的にはずっと内スキーを持ちあげて完全に外スキーの上でバランスをとることになる。


    これらの練習をこなして、外足だけでカービングターンがある程度できるようになったら、次のOutside Ski Turnsの出番になる。




    司会の女性:

    今回のスキルはエッジングドリル、Outside Ski Turnsです。外スキーだけで滑る為には色々な事が必要です。バランス、筋力、タイミング、そして、速い奇麗なカービングをするのに必要な基礎である、エッジコントロールです。

    レース中は、外スキーに体重を集中させてターンをするのが目標となります。なぜ?これが一番安定して、強く、そして効率良くターンのGを処理する方法だからです。

    ナレーション:

    このドリルには、とても広く、邪魔するものの無い、整地の中斜面が必要だ。これによって、スピードをコントロールして、エッジングだけに集中し、ターンとターンの間に十分な時間を取る事が出来る。ターンが終了するたびに、スキーヤーはスキー2本分の長さを斜滑降してから新しい外スキーを雪に下ろし、新しい内スキーを持ち上げる。子供には「1、2、と数えましょう」と指示しよう。それから、スキー2本分の長さ斜滑降した後、新しいターンを始める。スキーヤーはストックを突いても良いが、バランスを取る為に寄りかかってはいけない。目標は、内スキーを持ち上げながらカービングターンをする事。このドリルは非常に難しく、スキーヤーの弱点がすぐに明らかになる。正しく行われた場合、次のような事がみられる。


    •  ターンは片方のスキーが完全に雪から持ち上げられた状態で始まり、終わる

    •  内スキーはターンの間中完全に雪から離れている

    •  ターン間での斜滑降の中間点で、前の内スキーを下ろし、次の内スキーを上げる際、はっきりと体重移動がみられる

    •  体重移動の前と後の両方で、スキー2本分の長さを滑る間、スキーは雪から離されている

    •  両腕はコントロールされ、バランスが取れていて、前にある

    •  ターンは丸く、スピードは一定である


    よくある失敗は、

    •  ターンの局面を問わず、内スキーを雪に付けてしまう

    •  斜滑降が無い。このドリルは連続したターンをするものではない

    •  斜滑降の中間ではっきりとした体重移動が無い

    •  ターンの開始時に突くストック以外で、ストックを使ってバランスを取る

    •  リズミカルで滑らかな、丸いターンを行えない

    •  カービングしていない



    Doug Lewis(ワールドカップダウンヒル最高2位、ワールドチャンピオンシップ銅メダル):

    これは僕の"行きつけの"ドリルだ。ワールドカップで、ストレスで参っていて、調子が良くなかったりした時、リフト2本ほど、Outside Ski Turnsだけで降りてきたのを思い出す。それで集中でき、バランスも良くなり、雪をしっかり捉えられるようになる。そのあとは調子も上がり、"準備完了"だ。

    司会の女性:

    これはスキーヤーを試して、結果を出す、素晴らしいドリルです。また、あなたがジュニアレーサーでも、ワールドカップレーサーでも毎日やれるものです。



    Skills Questの次のレベル、フェーズ3でのドリルとしてはOne Ski Skiingがあげられている。そこにいたるまでの練習として、

    •  子供は平地で片方だけスキーを付けて鬼ごっこをさせたり、ストックでレースコースを作ってレースをさせたりする。徐々に少し角度の付いた所でやらせる。

    •  山スキー、谷スキーを持ち上げたまま斜面を横切る

    •  360度ターン

    •  山スキー、谷スキーを持ち上げてギルランデ(=片側のターンだけを繰り返す。Garland)

    • Outside Ski Turns


    等の練習の他、White Pass Turnsがあげられている。


    White Pass Turnは前の外スキーのエッジをリリースする事を身につける為に使われ、フォールラインかその後に、外スキーが雪に付けられる。これはスキーヤーがターン終了の局面で谷スキーのエッジを山スキーの補助無しにリリースすることを覚える助けになる練習であり、焦点はターントランジションでスキーが前のターンの内エッジから次のターンの内エッジへ(親指側エッジから小指側エッジへ)と傾けられる部分にある。この練習はOne Ski Skiingの導入ともなる。



    このような展開を経た後、フェーズ3のエッジング評価のドリルとして、One Ski Skiingとなる。



    司会の女性:

    1本のスキーで滑る事は若いスキーレーサーにとって、非常に大きなチャレンジとなりますが、大概の場合、彼らが好きな事の一つでもあります。そしてそれは好ましい事です。非常に価値がある物なので、いくらやっても足りないからです。このドリルは、外スキーでのカービングを洗練させるだけでなく、どうやって内スキーで滑るかを覚えるのにも役立ちます。最上のオプションではありませんが、レース中には沢山のレーサーが、ミスから内スキーで弧を描きながら脱出して助かっています。

    ナレーション:

    このドリルをなにも邪魔するものがない、整地の中斜面で行おう。スキーヤーは1本だけスキーを履き、連続したターンを8回行う。ターンは滑らかで丸く、一定のターン弧のカービング中回り。スキーヤーは浮いた脚を安定させ、完全に雪から浮かせる。ストックはバランスを保つ為には使ってはいけない。どちらの脚でもこれを行える必要がある。正しく行われた場合にみられる事は、


    •  ブーツはターンの間中完全に雪から浮いている

    •  両腕はバランスを保ち、コントロールされ、前にある

    •  ターンは滑らかなカービングでターン弧は一定である

    •  ターンとターンの間では、ストックを突く


    よくある失敗は、

    •  浮いた脚を雪に付いたり、振ったりして、補助として使う

    •  ストックを引きずってバランスを取る

    •  ターンが丸くなく、カービングでない

    •  ドリルを行っている間、スピードがコントロールされず不安定



    Eric Schlopy(ワールドカップGS最高2位 ワールドチャンピオンシップGS銅メダル):

    1本のスキーで滑る事ほど色々な感覚を目覚めさせてくれる事はない。山の大きさや、どこで滑っているかは関係ない。脚は強くなり、2本のスキーに戻った時の自信の大きさは信じられないほどだ。僕はこれを小さい時に始めて、今でもやっている。

    司会の女性:

    1本のスキーで滑る事は最上のドリルの一つです。これを練習すれば、バランス能力と素早さ、エッジング能力が鍛えられます。マスターすれば、レースコースを攻める自信が得られるでしょう。




    2回にわたってやってきた、USとCanadaのエッジングドリルの紹介。これらはカービングにおいては特に重要な物となる。Pivotのドリルの回で紹介した動画でBodeは、カービングで「一番重要なのはエッジを雪に奇麗に噛み込ませ、ダイナミックなターンの間中その上に立ってバランスをとる能力」と言っている。綺麗にエッジングしたスキーの上でバランスを取る為に重要になるバランスのドリルも、近いうちに取り上げようと思う。

    テーマ:スキー - ジャンル:スポーツ

    1. 2013/12/06(金) 10:58:18|
    2. 北米スキードリル
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