Rockface

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    シーズンインはとうの昔

    超不定期更新のこのブログ。まだ生きてます(笑) こちらは雪崩のトレーニングやソリのトレーニングに追われてスキー技術とは段々かけ離れた状況になっているけれど、一応11月から毎週滑っていて、下はオープン時の様子。





    毎年オープンから1ヶ月くらいはこんな感じで、ここまで紹介してきたような基礎ドリルをこなす、各所から集まったいろいろなレベルのたくさんのレーサーが、実際にトレーニングマニュアル等に沿ってトレーニングしているのが見て取れる。

    次の記事では去年の続き、バランスのドリルを紹介したいと 思う します。早急に。
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    テーマ:スキー - ジャンル:スポーツ

    1. 2015/03/07(土) 09:33:12|
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    言葉の力

    日本語は主語がはっきりせず、あいまいな言語だと言われる事がある。英語は日本語に比べて論理的なんて話も聞いたりする。

    確かに日本語の方があいまいに「しやすい」けれど、英語で主語があいまいな場合もあるし、日本語でも論文を書くときには明快で論理的に書かなければいけないわけで、使い方の問題だと思う。

    ところで、日本のスキー雑誌に連載を持っているという、スキー指導者の人の面白い記事を見かけた。
    http://blog.livedoor.jp/quality_of_life/archives/52043758.html

    「切り替え」が人によって重かったり軽かったりするという話だ。

    「切り替え」というのは「雪に噛み込んでいるエッジを反対側のセットに切り替える」事(及びその辺りの局面)だと思うし、このスキー指導者の人もそのように捉えている。ところが、ここで出てくるデモの人が言っている「切り替え」はエッジ角が緩んでいく局面のようだ。

    ここでUSSAのマニュアルを、$10の元をさらにとるために(笑)引用すると、USSAではターンの局面を次のように分類している。

    turn_phases.jpg


    Initiation - 開始

    Turning - 旋回

    Completion - 終了


    始めて、回って、終わる。実に単純。そして、この終了から次の開始の両方を含めた、ターンとターンの間をTransition=移行としている。これは4番目の局面=フェーズを付け加える物では無くて、選手やコーチが話をする時の為の便宜上の物、のような説明がある。「エッジの切り替え」は「Edge Change」と呼ばれていて、このTransitionでのCompletionとInitiationの間に起こるものだ。

    これらの用語=Terminologyを使って上の記事の話をすると、スキー教師の人が話しているのは、「エッジチェンジではスキーは軽い」という事で、デモの人が話しているのは「旋回期を終わらせて、エッジ角を緩めるターン終了期に入るのはフォールラインが望ましい」ということだ。前者は「エッジの」切り替え、後者は「ターンの局面の」切り替えという事になり、こうしてUSSAの用語に翻訳してみるとまるっきり違う話なのが分かる。

    ところで、この「エッジを緩めるのはフォールラインあたりが良い」というのは、英語圏では割と当たり前に話されていることで、たとえば前にあげたGreg Gurshmanの記事でも、レベルの高いレーサーのシュプールはコンマ型になる、つまり、ターンの前半が丸くなって、後半は直線的に抜けていくという事を言っているし、GSトップレーサー達がフリースキーしている動画を見ても実際に雪が早い段階から飛び始め、全体として横方向に飛んでいるように見える。





    もちろんこれは、カービングで出来るだけ速く滑るときの話で、ある程度以上の斜度になったらInitiationの部分で雪を飛ばしながらカービングするなんて事はどんなに上手い人間でも不可能になるけれど(そもそも圧雪車が入れなくなるし)、なるべく早い段階から素早く次のターンに向けて仕掛けていくという体の動き自体は、超急斜面で体が遅れないようにターンをするときなんかも同じなので、カービング特有のものではなくて、スキーの基礎的な技術でもあると思う。

    「単純な事をありえないくらい複雑にした結果、それを教える事が困難になってしまうのでは意味が無い」と、US Ski Teamの元ヘッドコーチは言っている。確かに、例えば「ターンは早めにしかけて終えろ」という事を、ありえない位複雑な言い方にして、それを教える事が困難になってしまったとしたら意味が無い。USSAのメソッドにも、「Keep It Simple = KIS」とあって、単純明快具体的であることを重視している。同じ事を教えるのでも、わかりにくい言葉で、漠然とした話をするのと、わかりやすい言葉で、具体的な話をするのとでは、結果が全く違ってくるだろうから当然だ。

    なるべくわかりやすい、意味を誤解する余地のない、具体的な用語を使うのは、単純明快で具体的な話をする為の第一歩だね。

    テーマ:スキー - ジャンル:スポーツ

    1. 2013/10/31(木) 04:32:54|
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    カービングの練習方法

    Youtubeをみていると、好きそうな動画をおすすめして来る事があるけれど、スキーの動画をみていたら、こういう日本の動画が出てきた。



    日本語の動画では珍しい動きだな、と思うと同時に、即座に思い浮かべたのが、オーストリアのスキースクールの、カービング導入動画。



    そうしたら、この人も、日本人だけどオーストリア国家検定スキー教師だそうだ。

    http://www.hase-ken.com

    俺って見る目あるな(笑)じゃなくて、当たり前だけど、日本でもそういうスクールはあるんだね。ちなみにこの練習、地元のスキー場で元US Ski Teamコーチも教えていたので、割と世界的に標準的な物だと思う。まあカービングだけがスキーじゃないけど、カービングを教えるメソッドはちゃんとあるんだな。

    テーマ:スキー - ジャンル:スポーツ

    1. 2013/10/12(土) 13:01:19|
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    傾くか、傾かないか - GSターンでの内傾角

    今までの記事で、何人ものコーチやスキー教師を紹介してきたけれど、その全員がターンの前半では外スキー荷重で、ターンの適切な場所で適切な外向外傾を作る動きがあるのが良い滑り方だという点で完全に意見が一致している。この2点は現在でもスキーの大原則だ。

    ところで、これらのコーチやスキー教師同士仲良くやっているかというとそうでもなくて、ネット上で直接間接にかなりやり合っていたりする。今回は、Greg Gurshmanによる、Inclination(内傾角)の作り方に関する記事と、それに対するHarald Harbの批判を紹介したいと思う。

    Greg Gurshmanは現役レースコーチで、ワールドカップの技術の記事を良くあげている。他のコーチからはよく「Angulation/Counter(外傾・外向)が無さ過ぎる」と言われる位、外向傾が少ない滑りが特徴だ。そのGregが書いた内傾角の作り方についての記事がある。

    内容は、インクリネーションとはスキーヤの体全体が垂直より次のターンの内側に向かって入ることであるという定義から始まって、ターンの最初で

    • 体の外側は真っ直ぐである。
    • 外足は伸びていて、肩と腰の線が平行に並び、スキーに対して正対。

    であり、骨格を無理なく並べてインクリネーションを取るのが良いとしている。



    また、ちゃんとしたインクリネーションは、ターンの最初の時期に内スキーに乗りすぎてしまう”leaning in(内倒)”とは違う。後者は完全な失敗であり、肩が腰の線よりもより傾いてしまうとそうなってしまうと書いてあるが、逆にこの時点で肩を斜面に平行に保とうとすると、ターンの初期に過剰なアンギュレーションが出て、固まったポジションになってしまうと言っている。

    最新のGSテクニックでは、エッジ角は主に外脚を伸ばすことによって作られ、膝でのアンギュレーションは最小限、あるいは全く無しであるということだ。

    インクリネーションを作る理由としては、重心が短い距離を動くこと、ターンの初期に”エッジロック”で固まってしまうこと無しに、高いエッジ角を滑らかに作っていくことが出来ることとしていて、この動きはJ3(12~13歳)以上のすべてのGSレーサーが身につけるべきだといっている。

    インクリネーションの作り方は下のようになる。


    Extension & Projection

    Extension: 足を伸ばす。前のターンの終わりで次の外脚を伸ばしていく。
    Projection: 重心を次のターンに向けて入れていく。体が前に、スキーの上を通り越して動いていく。

    この2つは同時に起こり、的確に行われれば効率的にスキーの中心に乗りなおすことが出来る。


    Re-centering

    ターンとターンの間でスキーの中心に乗りなおして、ターンの最初に外スキーの先に圧をかけることが必要で、これはどのような切り替えの方法でも同じ。下の写真ではマイヤーが最初の青と次の赤の旗門の間で抱え込み抜重をしているし、その次の青との間ではもう少し立った位置で切り替えているけれど、どちらの場合も外スキーの先に十分な荷重がされている。




    Dynamic Angulation

    アンギュレーション、あるいは”腰からのくの字”が最後のフェーズで行われる。エッジングにおいてインクリネーションを補助する役目で、ターンの最初の部分で的確なインクリネーションがされていないとこれが効果的に行えない。ターンからの力が強まる部分で、エッジのグリップを確保する役目を果たす。力強くターンを終えるために、外脚はターンの丸い部分が終わるまで、伸びたままにすることが重要。アンギュレーションは軽く上体を立て、肩を斜面に平行に近づけることによって行い、大きく腰から「くの字」を作る必要があることは少ない。アンギュレーションの量はスピードとターン弧の半径による。


    ジュニアの多くが、過剰に腰からのアンギュレーションを取った、固まったポジションで滑っていて、これはコーチが”leaning in”(内倒)を直そうとして、肩を平行に保つように指示した結果であることが多いとしている。こうすると、内倒は治るかもしれないが、速くダイナミックなスキーが出来なくなるとの事だ。適切な直し方は、基本のメニューに戻って、バランスを鍛えることと、上に上げられたような個々の技術を発達させること、また、効果的にインクリネーションを使うための感覚をつかませることと締めくくっている。ちなみに他の記事で、ワールドカップのレースでは、このインクリネーションを取るために、原則に反してあえて内スキーに乗るほど傾いたほうが速い状況さえあるとも言っている。

    これに対して元ワールドカップスラローマーのHarald Harbは、Greg Gurshmanの記事はすべて読んで、実際にそれを教えてみたこともあるが、いい結果は得られなかったとした上で、自分のフォーラムで完全に否定的なポストをいくつもしている。GSターンにおけるターン開始について、「ターン初期では圧をかけようとしてはいけない。外向を作るのも早すぎないようにして、浮くようにして通過する。板の上でバランスを取りながら板を傾けて、次に来る圧力に対処するための体勢を作り上げるのがターンの最初1/3でのポイントだ」とあるポストで言っている。

    これはインクリネーションを「とらない」と言っているのでは無くて、「ほとんどの人がインクリネーションをとりすぎているのに、それを教える意味が分からない」「傾くのは誰でも出来るが、適切な外向、外傾をとる動きはトレーニングを繰り返して始めて身に付く」という立場だ。

    確かにパタンと傾くように滑ると内脚に乗ってしまいがちで、外スキーが外れないようにインクリネーションを作るには、極々小さいとしても多少の外傾は必要なことが多い。「適切な外傾」を取った結果インクリネーションが出ているという方が正確なのかもしれない。とはいえ、「最初にインクリネーションを取って後半アンギュレーションするんだよ」というのは、誤解を招きやすいかも知れないけれど、わかりやすいとは思う。

    どちらのアプローチにしても、ターンの初期に外スキーの先が雪に噛むことが大事で、ここで内スキーに乗ってしまっても、外向傾を取りすぎて固まってしまっても駄目だという事は二人とも共通している。

    以前も何度か紹介した元US Ski Teamの男子ヘッドコーチPhil McNicholは、Ski Racing誌の最新のスラローム技術についてのインタビューでインクリネーションのとらせ方について、「私は選手に緩斜面でのレールターンをさせ、綺麗な2本のシュプールを残させる。徐々に急な斜面に移り、2本のシュプールを残したまま、深いターンをスピードをつけてさせるようにする。これをやると相当インクリネーションが出ることになるので、出来るようになったらインクリネーションにより重点を置いて、洗練させていく」と言っている。

    まずは急な斜面で完全にカービングしろという事で、そのためにエッジングのドリルをやるそうだ。スポーツというのは多くの場合、"Just Do It"だね。

    テーマ:スキー - ジャンル:スポーツ

    1. 2013/04/27(土) 05:49:58|
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    適切な外向傾の作り方 - How to skin a cat.

    「外向傾を全く取らないのは駄目」というのが、世界のワールドカップ選手やコーチ、スキー教師の間で共通した認識なのは今までのエントリーで書いてきた。だけど、「外向傾は0」というのは簡単でも、「適当な外向傾の量」を示すのは難しいし、人によっても意見の分かれる部分だ。

    今まで紹介してきたようなコーチやスキー教師はどう言っているだろうか。以下は主にカービング大回りでの話。


    最初に、元US代表選手で、ベテランレースコーチのRick Schnellmann
    http://www.yourskicoach.com/YourSkiCoach/Skiing_Into_Counter.html

    Q:どのような場合に受動的に外向に入って行き、どのような場合に積極的にターンの最初に外向を作ればいいでしょうか?
    (訳注:”外向に入っていく”というのは、体を谷に向けたまま、ターン前半は内向、板が下を向いたときに正対、後半は外向という滑り。ここではその前半の話。)

    A:ターンの最初に骨盤を移動させ外向をつくると、外傾を作り、外脚の上でバランスを取るのがすごく簡単になります。遅いスピードでのターンや、ターンがシャープにフォールラインを超えてスキーヤーの向きを大きく変えるような場合は、ターン最初で左右へのバランスを上手くとりやすいという事には大きな価値があります。
    スピードが高い場合は、慣性のおかげでターン初期での左右のバランスをあまり気にしなくても良いので、(ターンの初期に谷を向いて)”外向に入っていく”方法がより適切な方法になります。スキーヤーがターンの最後で比較的谷の下を向いたターンを繰り返す場合も、左右のバランスがとりやすいので、この方法が適しています。

    ”外向に入っていく”事が可能な場合、これはとても効果的に体を使える選択肢となります。腰をわざわざ外向させる動きがなくなるわけですから。体は下向きの方向を保ったまま、スキーが回ってくるのを待つことになります。しかし、これはちゃんとやるのが少し大変な方法となります。なぜなら、ターンの前半で体を捻った体勢になり(先行動作)、前のエッジを外し始めた瞬間にスキーが勝手に回ってこようとするからです。高い技術のあるスキーヤーにしか、スキーが回って来ることをコントロールして、綺麗なカービングターンを行うことは出来ません。

    ”外向に入っていく”ことの問題点は、ターン初期の外向が無いことにより、外足を親指側に傾かせ新しい外スキーに圧力をかけていく力が存在しないことです。スキーヤーはターンの上半分を、外向を取った場合に比べ、あまりしっかりと(雪面と)噛み合わずに通過することになります。このため、両方の滑りが出来るスキーヤーの一部は、ターン初期で外スキーがしっかりと噛んだ、安定した感覚を経るために、自分から骨盤を外に向けて外向を取ることがあります。

    両方試して、それぞれの感覚を比較してみましょう。



    次に、元チェコ/スロバキアチームのアルペンオリンピックチームキャプテン等、USSA認定コーチの集まりのスキーコーチング会社、Modern Ski Racingの記事
    http://www.modernskiracing.com/HipsForward.php

    よく、内足を引いて腰が前にあるポジションを保てと言っているのを聞きます。疑いもなく、我々は内足がターンの先に凄く出て行って、トランジション(切り替え時)にポジションが後ろになった、受身のポジションでターンするようなことになりたくない。とはいえ、内足を後ろに引きすぎて体が自然の力学の結果起こそうとする動きをブロックするようなことにもなりたくありません。つまり、少しの外向が出来るように、多少の内半身の先行を作ることです。この動きのより良い見方は、ターンで片足が長く、片足が短い体勢を取る際に、内足の踵を体の下にたくし込むということです。これにより、内足をあまりにも引きすぎて、外向とその後の連鎖的な動きを邪魔することを防ぐことが出来ます。内スキーの先行の量をコントロールすることが必要なのは疑いありませんが、それが実際になくなることはありません。体が適切なバランスを保つのに必要だからです。



    続いて、各国のナショナルチームと仕事をしているというロシア人コーチGreg Gurshmanの所属する別のコーチング会社youcanski.comによる、オーストリアコーチングメソッドの紹介
    http://www.youcanski.com/en/coaching/austrian_coaching.htm

    編集者ノート:上の写真から、一見どちらのレーサーも、特にフェーズ2(ターン開始)とフェーズ3(ターンマキシマム)において、大きなティップリードを示しているような印象を受けるかもしれない(内スキーが外スキーよりも大きく先に出る)。私達はこれらのアスリートはわざと内スキーを前に押し出したり、腰を逆回転させたりしてこの状態を作っているのではないと強調したい。ティップリードはこれらのトップレーサーの非常に高いエッジアングルのために自然に起こるものである。このような極端に高いエッジアングルを取るためには、外側と内側の足の大きな左右方向の距離を必要とし、それが結果として前後のスキーの距離を生むのである。(人間の膝は曲がると前に出るという単純な解剖学的な事実により。たとえばバッタであれば逆ティップリードが生まれる)



    さらに、元ワールドカップ選手、元USデモのスキー教師Harald Harb。最初のRick Schnellmannによる、外向のデモンストレーションを批判する内容。1番目の写真がRick Schnellmann。
    http://www.pmts.org/pmtsforum/viewtopic.php?f=1&t=3232



    これはカウンターアクティング(適切な外向傾をとって良いバランスを保つこと)ではない。これはカウンターアクティングを示そうとしたものだが、わざとやっていて、過剰な内スキーの先行のある、後ろに座ったようなポジションになっている。外脚のヒザが内脚のヒザの後ろに落ちており、外脚のヒザは山に向かって入れこまれている。これは腰の落ちたパークアンドライド(ポーンと後ろ気味のポジションに入ってそのまま固まって曲がること)だ。どんな意味でも実用的ではない。



    こちらが実用的なカウンターアクティングだ。全く違う。彼はスキーの上にたって、スキーをたわませており、バランスが取れている。

    2枚の写真を比べよう。上の写真をみると、彼はカウンターアクティングを見せようとしていろいろなことをやっている。内スキーを前に押し出し、腰を捻り、足(ブーツ)を傾けていない。彼のスキーはほとんどエッジが立っていない。体はスキーのアングルと並んでいない。彼はバランスが取れた良いターンを見せることよりも、わざとらしくカウンターを見せることに集中している。どんなに切実に何かを見せたいとしても、ターンの質を犠牲にするべきではない。誤解を招くからだ。



    最後に、Ski Racing誌に時折寄稿しているレースコーチRon LeMaster。オリンピック金メダリストDidier Defagoと世界選手権金メダリストDidier Cucheのダウンヒルレースでのターンを比較して。
    http://ronlemaster.com/skitechtoday/blog/2010/10/09/more-than-one-way-to-skin-a-cat/

    Cucheの腰と上半身はターンの外側に向けられ、英語で「Countered Stance」と呼ばれる体勢になっており、大きな腰からの外傾が見られる。Defagoの体勢はかなり違っている。彼はアメリカ人が「Square(正対)」とよぶ少ししか外向を取らない構えを取っており、著しく少ない腰からの外傾を使っている。さらに、彼は外スキーのエッジをコントロールするために(膝)からの外傾を多く取っている。(訳注:”膝”の部分は脱字だが、彼の普段言っている事や、通常AngulationにはHipとKneeしかないという事から考えて、ここは間違いなく膝からの外傾だと思われる。)
    二人のアスリートの構えの違いは、主に体つきの違いから来ている。174cm 89kgのCucheは体重に比べて背が低い方だ。Defagoは10cm高いが、1kg重いだけだ。腰からの外傾の目的は、スキーヤーが外足に体重を乗せ、エッジが鋭く立っている局面で、外脚の大たい骨の股側の付け根の上で重心のバランスをとることである。そのためには、上半身と比較して、体の中心部分に重さが集まっていれば集まっているほど、より大きな外傾を取ることが必要になる。外向の目的は、臀部と太ももの筋肉を、スキーヤーと雪との間に働く力に対して最適な形に並べることである。通常は、身長に対して腰が広いほど、より強い外向が必要になる。結果として、Cucheの背の低く、ガッチリした体つきがより大きな腰からの外傾と外向となって現れ、Defagoの背が高く、狭い腰の体つきは正対した構えを要求する。

    もう一つアスリートが技術を選択する際に大事な要素は、その個人が最初にどうやってスキーを習ったかである。スキーで良いターンをするためのやり方は一つではなく、発達段階で磨いた技術が、スキーヤーが最高のレベルに到達したときに一番効果的なものになることが多い。アメリカにこの場合にぴったりなことわざがある。「猫の皮を剥ぐやり方は一つではない」というものだ。スキーの話でいえば、CucheとDefagoがここでやっているように、2人の人間が、同じ事を違うやり方でやりつつ、どちらも優れたスキーヤーでありうるということである。



    大まかにいえば、外膝が内膝の後ろに入りこむほど大きく体を開くのではなく、体が有効に使えないほど無理に内足を引き付けるのでもない、というところだろうか。その範囲であれば、大きく作る方法と作らない方法のそれぞれにメリットがあるし、個人の体型によっても適切な量は変わってくるということだ。感覚的な話も人それぞれの部分があるだろう。個人的な話をすれば、骨盤の左が前に出ているとカイロプラクターに言われて(目でみてわかるほどではないけど)、普段足を組む方向を変えたり、Pivot Slipを重点的にやったりして直したんだけれども、その前には、カービング大回りの場合、左ターンはターン半ばで内足の踵を体の下に引き付けて、右ターンはターン前半で骨盤の内側を意識して前に出すのが良いターンになっていた。

    良く聞く「スキーの前後差を無くせ」と言う様なアドバイスはもちろん有効な事もあるだろうけれども、物理的に本当に前後差がなく、本当に外向の無い滑りと言うの通常しないし、人次第、状況次第で必要な事は逆だったりするわけで、あまり画一的な流行にとらわれず、自分に最適な方法をさがすのが良さそうだ。

    テーマ:スキー - ジャンル:スポーツ

    1. 2013/02/08(金) 09:32:31|
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